あなたの口臭、大丈夫?本当の原因と正しい対策を解説
2025年10月20日
「口臭が気になるけれど、どう対策すればいいかわからない」そう感じている方は少なくありません。実は、強いにおいのある食べ物や胃の不調だけでなく、お口の中の汚れやだ液の減少など、口臭にはさまざまな原因が関係しています。
なかでも多いのが、歯周病や舌の汚れなど、歯科的なトラブルによるもの。日々のケアや生活習慣を少し見直すだけでも、口臭の改善につながるケースはたくさんあります。
今回は、口臭の種類や仕組み、セルフケアのポイント、そして歯科医院での治療について、わかりやすく解説していきます。
口臭には種類がある?

「口臭」と聞くと、何か異常があるように感じるかもしれませんが、実は誰にでも起こりうるものです。まずは、口臭の種類と特徴を知ることが大切です。
口臭には、大きく分けて次の3つのタイプがあります。
・生理的口臭
起床時や空腹時、緊張したときなど、誰にでも一時的に起こる口臭です。だ液の分泌が減ってお口の中が乾くと、においが強まりやすくなります。時間が経つと自然におさまるのが特徴です。
・病的口臭
歯周病や虫歯、舌苔(舌の表面の汚れ)、喉・鼻・消化器の病気などが原因で発生する口臭です。においが強く持続することが多く、治療によって改善が期待できます。
・心理的口臭(自臭症)
実際には強いにおいがないにもかかわらず、「自分の口が臭う」と強く思い込んでしまう状態です。ストレスや不安が背景にあることもあり、医療機関での対応が必要な場合もあります。
このように、口臭にはさまざまなタイプがあり、誰にとっても身近な問題です。まずは「病気のサインかどうか」を正しく見極めることが適切な対策につながります。
お口の中が原因の口臭とは?

口臭の原因として最も多いのが、「お口の中のトラブル」によるものです。とくに注意したいのが、歯周病や舌の汚れ(舌苔)です。歯周病が進行すると、歯ぐきの中で細菌が増え、強いにおいを発するガスが発生します。
また、歯と歯の間の磨き残しや、歯垢・歯石の蓄積も、細菌の繁殖を助けてしまいます。次のような状態も口臭の原因になることがあります。
・舌の汚れ(舌苔)
舌の表面に白っぽい汚れが付着することがあり、ここに細菌がたまりやすくなります。特にだ液の分泌が少ないと、におい成分がとどまりやすくなります。
・詰め物や被せ物の劣化・不適合
古くなった詰め物や合わなくなった被せ物のすき間に汚れが入り込み、細菌が繁殖することがあります。
・入れ歯のケア不足
入れ歯の清掃が不十分だと、汚れや細菌が残り、においの原因になります。取り外して丁寧に洗うことが大切です。
このように、口臭の多くはお口の中で発生しており、日常のケアや定期的なチェックによって予防・改善が可能です。
胃腸・耳鼻科・全身疾患が関係することも

口臭の原因はお口の中だけとは限りません。歯ぐきや舌に問題がないのに強いにおいが続く場合は、耳鼻科や内科の病気が関係している可能性があります。
たとえば、副鼻腔炎(蓄膿症)や扁桃炎では、膿によってにおいが発生し、呼気に混ざって感じられることがあります。胃の不調があると、すっぱいにおいが気になることもありますが、実際に胃がにおいを発することは少なく、逆流性食道炎の影響で感じるケースが多いとされています。
また、糖尿病や肝臓・腎臓の機能低下でも、体内の代謝物の変化によって独特のにおいが出ることがあります。これらはセルフケアでは改善が難しく、医科での治療が必要です。
このような全身の病気が関係する口臭は、歯科だけで対処できないこともあります。まずは歯科で口腔内の状態を確認し、必要に応じて適切な診療科をご案内することも可能です。
生活習慣が引き起こす口臭

口臭は病気だけでなく、日々の生活習慣によって悪化することもあります。特に食べ物や嗜好品、ストレスなどの影響は見落とされがちですが、口臭の原因として軽視できません。
にんにくやネギ、アルコールなどのにおいの強い食品は、体内で分解された成分が血液を通じて肺に達し、呼気としてにおいが排出されます。そのため、口の中を清潔にしていても、しばらくにおいが残ることがあります。
喫煙もタールやニコチンのにおいが口内にとどまるうえ、歯ぐきの血流を悪化させて歯周病を進行させやすくなるため、口臭のリスクを高めます。
さらに、ストレスも口臭の一因です。緊張や不安が続くとだ液の分泌が減り、口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなります。
このように、口臭は日常生活の中で強まることもあります。においが気になるときは、生活習慣を振り返ってみることも改善への第一歩となります。
自分の口臭、どうやって確かめる?
口臭は「自分では気づきにくい」ことが大きな特徴です。においに慣れてしまい自覚が難しくなる「嗅覚の順応」という現象があり、とくに慢性的な口臭は自分よりも周囲が先に気づくことが多いものです。
とはいえ、毎回誰かに確認を頼むわけにもいきません。そんなときは、自宅でできる簡単なセルフチェックを試してみましょう。
・コップを使う方法
清潔なコップに息を吐き、しばらくフタをしてからにおいを確認します。空気が混ざりにくく、呼気のにおいを確かめやすくなります。
・舌のにおいを確かめる方法
スプーンの背で舌を軽くこすり、乾かしたあとににおいをかいでみます。舌苔による口臭の有無をある程度確認できます。
ただし、これらの方法はあくまで簡易的な確認にすぎません。不安を感じていると、実際にはにおいがない場合でも「におう気がする」と思い込んでしまうことがあります。
悩んだまま過ごすよりも、一度歯科医院でチェックを受けてみましょう。
口臭を防ぐ正しいセルフケア

口臭の多くは、日常のケアである程度予防や改善が可能です。ただし、「歯みがきだけ」では落としきれない汚れもあるため、複数のケアを組み合わせることが効果的です。
・歯間ブラシやフロスで歯と歯の間の汚れを除去
・舌クリーナーで舌の表面(舌苔)をやさしく清掃
・こまめな水分補給やよく噛む食事で、だ液の分泌を促す
これらを日常的に取り入れることで、お口の中の細菌の繁殖を抑え、においの原因となるガスの発生を防ぐ環境づくりにつながります。特別な道具や時間がなくても、習慣を少し見直すだけで、口臭予防の効果は十分期待できます。
歯科医院でできる口臭対策とは?

セルフケアをしっかり行っていても、なかなか口臭が改善しない場合は、歯科医院での診察をおすすめします。歯科ではまず、口臭の原因がどこにあるのかを丁寧に確認し、必要に応じて検査を行います。
口臭の多くは、歯周病や舌苔、詰め物のすき間など、お口の中に潜む細菌の影響によるものです。歯科医院では、そうした原因に対してプロによるクリーニングや歯石除去、歯周病治療を行い、においの発生源を根本から取り除いていきます。
また、だ液の量や舌の状態、口腔内の乾燥なども総合的にチェックし、生活習慣の改善方法やセルフケアのアドバイスも受けられます。必要に応じて、口臭測定器などを使った検査を行うこともあります。
こんなときは専門的な治療が必要です
セルフケアや生活習慣の見直しでも口臭が改善しない場合、何らかの病的原因が隠れている可能性があります。特に、強いにおいが長く続く場合や、周囲から指摘された経験がある方は、一度歯科医院での受診をおすすめします。
また、検査で明確な原因が見つからないにもかかわらず、「自分の口がにおう気がする」と強く感じてしまうケースもあります。これは「口臭症」と呼ばれ、実際にはにおいが認められない状態でも、ご本人が深く悩んでしまうことがあります。
このような場合は、口腔内だけでなく心理的な要因も関係していることがあり、必要に応じて他科との連携や専門的な治療をご案内することもあります。
口臭は、人間関係やご自身の自信にも影響するデリケートな問題です。「気のせい」と我慢せず、まずは歯科で相談してみましょう。
まとめ

口臭には、歯周病や舌の汚れなどのお口のトラブルをはじめ、生活習慣や全身の健康状態が関係していることもあります。セルフケアだけでは気づきにくい原因もあるため、まずは自分の状態を知ることが大切です。毎日のケアに少し工夫を加えながら、気になることがあれば歯科医院にご相談ください。正しい知識と適切な対応で、口臭の悩みはきっと軽くなります。
当院では、口臭の原因を客観的に数値で確認できる「オーラルクロマ」を導入しています。
オーラルクロマは、口臭の主な原因とされる「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」という3種類のガス(いわゆる“三大ガス”)を、ごく少量の単位まで正確に分離・検出できる検査機器です。においの種類や強さを詳しく分析することで、より的確な対策が可能になります。
ご希望の方は、どうぞお気軽にスタッフまでお声がけください。








