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「口呼吸」がもたらす意外なリスクとその対処法

2025年07月15日

普段、皆さんはどのように呼吸をしていますか?意識せずとも私たちは「鼻から吸って、鼻から吐く」という呼吸を自然に行っているはずです。しかし近年、無意識のうちに「口で呼吸している」人が増えており、小学生以下では約80%以上が口呼吸をしているという調査結果もあります。鼻でも口でもどちらで呼吸しても変わらないのでは、と思われるかもしれません。しかし、実はこの「口呼吸」には、私たちの健康や日常生活に深く関わるさまざまなリスクが潜んでいます。

今回は、「口呼吸」が引き起こす問題と、それに対する対処法についてご紹介します。

 

口呼吸はむし歯・歯周病になりやすい

むし歯や歯周病の主な原因は、口腔内に存在する細菌です。これらの細菌が歯の表面に付着し、糖分をエサにして酸を産生することで、歯の表面を溶かしてしまいます。これがむし歯のメカニズムです。また、歯周病は歯と歯ぐきの境目に細菌が繁殖し、炎症や出血、さらには歯の土台となる骨まで破壊してしまう病気です。では、口呼吸がこれらの病気とどのように関係しているのでしょうか。

 

答えは、唾液にあります。唾液には非常に優れた抗菌作用があり、むし歯菌や歯周病菌の活動を抑制する働きがあります。また、食後の酸性に傾いたお口の中を中性に戻す緩衝作用や、歯の再石灰化を促す作用も持っています。ところが、口呼吸をしていると、口が常に開いている状態になりやすく、口腔内が乾燥します。この乾燥により唾液の分泌量が減り、唾液の恩恵が十分に得られなくなります。その結果、細菌が活発に活動しやすい環境となり、むし歯や歯周病のリスクが一気に高まるのです。

 

特に就寝中は唾液の分泌が減少する時間帯です。口呼吸によって乾燥がさらに進めば、細菌にとって非常に活動しやすい環境になってしまいます。「しっかり歯磨きをしているのに、なぜかむし歯ができやすい」「歯ぐきが腫れやすい」という方は、実は無意識の口呼吸が関係している可能性もあるのです。

 

睡眠時無呼吸症候群の原因になる

口呼吸が引き起こす問題は、お口の中にとどまりません。実は「睡眠の質」にまで大きく関係してきます。その代表的な例が「睡眠時無呼吸症候群」です。これは、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気で、放っておくと日中の強い眠気や集中力の低下、さらには高血圧や心筋梗塞など、全身の健康に悪影響を及ぼす恐ろしい病気です。

 

この症候群の大きな原因のひとつが、「舌の落ち込み」です。通常、舌は上顎に軽く接した位置にあるのが理想的ですが、口呼吸をする人の多くは舌が下がり、のどの奥の方に落ち込む傾向があります。特に寝ている間に口呼吸をしていると、重力の影響もあり舌がさらに下がりやすくなり、気道をふさいでしまうことがあります。結果として、空気の通り道が狭くなり、呼吸が一時的に止まってしまうのです。

 

睡眠時無呼吸症候群は、太っている人やいびきをかく人に多いと思われがちですが、痩せていても、顔の骨格や舌の位置、呼吸の仕方によってリスクがあることがわかってきています。「朝起きても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」「日中に強い眠気を感じる」といった症状がある方は、一度口呼吸を疑ってみるのもよいかもしれません。

 

口呼吸は病気になりやすい

本来、私たちが鼻呼吸をしているのは、単に空気を取り込むためだけではありません。鼻には、外から入ってくるウイルスや細菌、ホコリなどの異物をシャットアウトするための精巧なフィルター機能が備わっています。まず、鼻毛が大きな異物を捕らえ、さらにその奥には繊毛という細かい毛がびっしりと生えています。これらが外気に含まれる病原体をキャッチし、体内への侵入を防いでくれるのです。

 

一方で、口呼吸ではどうでしょうか。口の中には鼻のようなフィルター機能がありません。つまり、ウイルスや細菌がダイレクトに喉や肺まで到達してしまうのです。そのため、口呼吸をしている人は風邪やインフルエンザ、ウイルス性胃腸炎、さらには新型コロナウイルスなどの感染症にかかりやすくなるという研究結果もあります。

 

特に子どもや高齢者は免疫機能が弱いため、口呼吸による病気のリスクがさらに高まります。また、花粉症やアレルギー性鼻炎などの症状も悪化しやすくなると言われています。「最近よく風邪をひく」「喉がいつもイガイガする」「朝起きると喉が痛い」といった方は、実は口呼吸が根本的な原因かもしれません。

 

口呼吸は口臭の原因になる

「口臭が気になる」という相談は、年齢や性別を問わず多くの方が抱えている悩みのひとつです。口臭の原因は食べ物や内臓疾患などさまざまですが、最も多いのはお口の中の細菌によるものとされています。特に口臭の主な原因とされるのが、「揮発性硫黄化合物」という物質です。これは、口腔内の細菌がたんぱく質を分解する際に発生するガスで、腐敗臭や卵が腐ったような臭いが特徴です。

 

ここでも「唾液」が重要な役割を果たします。唾液は口の中の汚れを洗い流し、細菌の数を抑えてくれるため、口臭を防ぐ天然のマウスウォッシュとも言える存在です。しかし、口呼吸によって口の中が乾燥すると、唾液の量が減り、細菌が増殖しやすくなります。すると当然、口臭の原因物質も多くなり、口臭が強くなってしまうのです。

 

また、口呼吸をしていると、口の周りの筋肉が衰えやすく、口をぽかんと開けたままの表情になりがちです。これは見た目の印象を悪くするだけでなく、口臭が外に漏れやすくなるという問題も引き起こします。「自分ではわからないけれど、口臭が気になって人と話すのが怖い」という方は、歯科医院での口臭チェックと合わせて、呼吸の仕方を見直してみるとよいかもしれません。

 

口呼吸の対処法

では、このようにさまざまな問題を引き起こす「口呼吸」には、どのように対処すればよいのでしょうか。以下にいくつかの具体的な方法をご紹介します。

 

・紙をくわえるトレーニング

非常にシンプルですが効果的なのが、紙を口にくわえるトレーニングです。これは、くわえた紙が落ちないように唇を閉じておくことで、口を自然と閉じる癖をつけるという方法です。1日数回、1回につき約1時間ほど紙をくわえて過ごすことで、無意識のうちに口を閉じる習慣が身についていきます。最初は難しく感じるかもしれませんが、数週間続けると確実に効果が現れます。

 

・仰向けで寝る

寝ている間の口呼吸を防ぐためには、まず「仰向けで寝る」ことが重要です。横向きやうつ伏せでは口が開きやすくなってしまうため、仰向けで寝るようにすることで、自然と鼻呼吸がしやすくなります。また、寝る前に口に医療用テープを貼る「口閉じテープ」も有効な手段です。ただし、鼻づまりがある人には適しませんので、事前に医師に相談してください。

 

・鼻の通りをよくする

鼻呼吸をするには、まず鼻の通りがよいことが大前提です。慢性的な鼻づまりがある場合は、耳鼻科での診察を受けることをおすすめします。自宅でできる対策としては、就寝前の鼻洗浄や、鼻孔拡大テープなどを使うと効果的です。鼻づまりを解消することで、自然と口呼吸から鼻呼吸に移行できるようになります。

 

まとめ

口呼吸は単なる癖や習慣ではなく、むし歯や歯周病、睡眠時無呼吸症候群、感染症、口臭といった多くの健康リスクと関係しています。大切なのは「自分が口呼吸をしているかどうか」にまず気づくこと。そして、気づいたときに早めに対処することが、将来的な健康を守る第一歩になります。「寝ているときに口が乾く」「朝起きたときに喉が痛い」「人から口が開いていると指摘された」など、思い当たる点がある方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたとご家族の健康な未来のために、正しい呼吸から見直してみましょう。

 

 

予防治療を検討されている方は、茨城県筑西市にある山口歯科クリニックにご相談ください。

当院では、一般歯科や予防歯科、矯正治療、ホワイトニング、インプラント治療、口腔外科など、さまざまな歯科診療に力を入れています。

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