リカルデントで歯を強くする!知っておきたいむし歯予防の新常識
2025年10月15日
ガムやタブレットなどで、「キシリトール」「リカルデント」といった言葉を目にすることも多くなりました。しかし、実際のところ「よく分からない」「なんとなく体に良さそう」くらいの認識で、深く理解されている方は少ないかもしれません。キシリトールは聞いたことがあっても、リカルデントはまだあまり知られていない成分です。しかし実はこのリカルデント、歯の健康を守るうえで非常に重要な役割を果たしてくれる優れた成分なのです。
今回は、キシリトールとの違いを整理しながら、リカルデントの効果や活用法についてご紹介します。
そもそも、なぜむし歯になるの?

「甘いものを食べすぎるとむし歯になる」と聞いたことのある方は多いと思いますが、その背景には科学的なメカニズムが存在します。私たちの口の中には、誰でもミュータンス菌と呼ばれるむし歯の原因菌が住んでいます。この菌は、食べ物に含まれる糖分(ショ糖やブドウ糖など)を栄養源にして増殖しながら、同時に酸を作り出します。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、徐々に内部にまで侵食が進むとむし歯になります。これを脱灰と呼びます。さらに、食事のたびにこの酸が繰り返し生成されると、歯はダメージを受ける一方になり、再石灰化(歯を修復する力)が追いつかなくなってむし歯が進行していくのです。したがって、糖分を多く含む甘いものを頻繁に摂ることが、むし歯のリスクを高めるというのは当然のことなのです。
キシリトールとは?

キシリトールは、白樺やトウモロコシの芯などの天然素材から抽出される、自然由来の甘味料です。分類としては「糖アルコール(または糖質系甘味料)」の一種で、見た目は砂糖に似た白い結晶ですが、特性はまったく異なります。自然界では、イチゴやカリフラワー、プラムなど多くの果物や野菜にも微量ながら含まれており、私たちの体内でも肝臓などで自然に少量つくられている、非常に身近で安全性の高い成分です。砂糖と同程度の甘さを持ちながらも、血糖値をほとんど上げず、カロリーも約75%と低いため、糖尿病の方やダイエット中の方にも比較的安心して利用されています。
キシリトールの働き

キシリトールの最大の特徴は、むし歯の原因にならないどころか、むし歯を予防する働きがあるということです。主に以下のようなメリットが得られます。
・むし歯菌の働きを抑える
・唾液の分泌を促し、口の中を洗い流す作用
・唾液中のミネラルが歯に戻る「再石灰化」を助ける
つまり、キシリトールは「甘いけれど歯に優しい」だけでなく、「むし歯になりにくくする」素材なのです。
キシリトールの活用法

キシリトールは、むし歯の原因菌に酸を作らせず、さらに唾液の分泌を促すことで、むし歯を防ぎながら歯の修復(再石灰化)を助けるという非常に優れた甘味料です。しかし、即効性のある薬のように「1回摂ればむし歯が治る」「むし歯にならない体になる」というものではありません。あくまで、毎日コツコツと習慣にすることで、その効果が発揮されるものです。では、どのように生活に取り入れるのが良いのでしょうか。以下に具体的な活用方法を紹介します。
・食後にキシリトールガムを噛む
もっともおすすめの方法が、食後にキシリトール入りガムを噛むことです。食事のあとは口の中が酸性に傾いており、歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出している「脱灰」の状態です。ここでキシリトールガムを噛むと、唾液の分泌が促されて口の中が中性に戻り、歯にミネラルが戻る「再石灰化」が進みます。ポイントは、100%キシリトール使用と記載のある製品を選ぶこと。市販のガムの中にはキシリトールがわずかしか含まれていないものもありますので、成分表をよく確認しましょう。
・子どものおやつにキシリトール入りのアイテムを
キシリトールは小さなお子さんにも安心して与えられる甘味料です。最近では、キシリトール入りのチョコレート、タブレット、グミなどが市販されており、おやつ代わりに取り入れることができます。甘さを楽しみながら歯に優しく、むし歯のリスクを減らすことができますので、おやつの質を見直したい保護者の方におすすめです。
・唾液が出にくいと感じる方にもおすすめ
高齢者の方や薬の副作用、ストレスなどによって唾液の分泌が減少している方にも、キシリトールの摂取は有効です。ガムを噛む動作そのものが唾液腺を刺激し、キシリトールの甘さも唾液分泌を促すため、口腔内の乾燥を防ぎながら自浄作用を高めることができます。
リカルデントとは?歯を「補修」してくれる注目成分

リカルデント(RECALDENT)は、「CPP-ACP」と呼ばれるミルク由来の成分を主原料としています。CPP-ACPは、「カゼインホスホペプチド-アモルファスカルシウムリン酸」という名前の通り、カルシウムとリン酸を歯の表面に届け、再石灰化を促進する作用を持っています。簡単に言うと、溶け出したミネラルを歯に戻してくれる、補修材のような存在です。
リカルデントの働き

リカルデントには、歯の健康を守るためのさまざまな働きがあります。具体的には、以下のような効果が期待されています。
・酸に強い歯を作る(再石灰化促進)
・初期むし歯の修復補助
・知覚過敏の軽減
・歯の表面をなめらかにする
とくに再石灰化の効果は、キシリトールよりも高いという研究結果もあります。
リカルデントの活用法

リカルデントは味がほとんどないため、そのままでは利用されにくく、ガムやタブレットなどに配合されて販売されていることがほとんどです。よく知られている「リカルデントガム」は、キシリトールとリカルデントの両方が含まれており、むし歯予防と再石灰化の両面から歯を守る非常に優秀な製品です。
リカルデントの効果的な取り入れ方として、以下のようなことが挙げられます。
・食後にガムを噛む
・歯みがきの後にタブレットを摂る
・就寝前など唾液が減るタイミングに取り入れる
これらを1日2〜3回、毎日の習慣として取り入れることがポイントです。すぐに変化があるわけではありませんが、長期的に見れば確かな違いが出てきます。
キシリトールとリカルデントの違い

キシリトールとリカルデントは、どちらも歯の健康にとって非常に役立つ成分ですが、それぞれに明確な役割の違いがあります。
まずキシリトールは、「むし歯をつくらせない環境を整える」ことを主な目的としています。キシリトールを摂取すると、むし歯の原因となる細菌(ミュータンス菌など)が酸をつくる働きを抑えられます。酸ができないため歯は溶けにくくなり、むし歯の進行を防ぐことができるのです。また、キシリトールにはほのかな甘味があり、ガムやタブレットなどとしておいしく摂取できるというメリットもあります。さらに、噛む動作や甘さによって唾液の分泌が促されることで、口腔内の自浄作用や再石灰化もサポートされます。
一方、リカルデントは「歯そのものを強くする」ことに焦点を当てた成分です。リカルデントの正体は、CPP-ACPというミルク由来の成分で、歯の表面に失われたカルシウムやリン酸といったミネラルを補給し、歯の再石灰化を直接的に促進します。つまり、キシリトールが“守る”成分であるならば、リカルデントは“修復・補強する”成分といえるでしょう。リカルデントには味がほとんどなく、甘さも感じられません。そのため、リカルデント入りのガムやタブレットには、摂取しやすくするためにキシリトールなどが併用されていることが多く見られます。
このように、キシリトールとリカルデントはどちらも歯の健康を支える重要な役割を担っていますが、その効果や目的は異なります。キシリトールは「むし歯のリスクを下げる環境を整える」、リカルデントは「酸で溶けてしまった歯のエナメル質を補修・再生する」という役割を担っているのです。両者を上手に組み合わせることで、予防と補修の両面から、より強い歯と健康な口腔環境を手に入れることができるでしょう。
まとめ
リカルデントは、歯を強くし、むし歯になりにくい口内環境を整えてくれる頼もしい存在です。当院では、キシリトールやリカルデントを含んだガムやタブレット、むし歯にならないチョコレートなど、安心してお使いいただける口腔ケアアイテムをご用意しています。ただし、魔法のようにむし歯を完全に防ぐわけではありません。毎日のセルフケアや定期的な歯科検診と併せて、バランスの取れたケアを行いましょう。
予防治療を検討されている方は、茨城県筑西市にある山口歯科クリニックにご相談ください。
当院では、一般歯科や予防歯科、矯正治療、ホワイトニング、インプラント治療、口腔外科など、さまざまな歯科診療に力を入れています。
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