オーラルフレイルとは?症状や懸念されるリスクを解説
2024年09月17日
こんにちは。茨城県筑西市にある山口歯科クリニックです。
年齢を重ねても健康で若々しく、元気に過ごしたいと誰もが願うものです。しかし、加齢による身体の衰えは避けられません。その中でも見過ごされがちなのが、お口の健康です。お口の機能低下、すなわち「オーラルフレイル」は、心身の健康に深く関わる問題です。今回は、オーラルフレイルの症状や放置することで生じるリスクを具体的に解説します。
オーラルフレイルとは?小さな変化を見逃さないために
オーラルフレイルとは、加齢に伴うお口の機能の衰えを指します。「食事中にむせやすくなった」「食べこぼしが増えた」「以前ほど固いものが噛めなくなった」と感じたことはありませんか?これらは、オーラルフレイルの初期症状かもしれません。オーラルフレイルは「健康な状態」と「お口の機能が低下した状態」の中間に位置する段階です。
この段階で適切な対応を行えば、元の健康な状態に戻れる可能性があります。しかし多くの方は「年をとれば仕方のないこと」と軽視しがちで、オーラルフレイルを放置してしまうことがあります。放置されたオーラルフレイルはやがて深刻な機能低下を引き起こし、さらには全身の健康にも悪影響を及ぼします。
オーラルフレイルの具体的な症状とは?
オーラルフレイルの症状には、以下のようなものが挙げられます。
食事中にむせやすくなる
食事中に飲み込みがうまくいかずむせてしまうことが増えるのは、オーラルフレイルの典型的な症状です。飲み込む力が弱くなることで食べ物や飲み物が誤って気管に入りやすくなり、むせが生じます。
食べこぼしが増える
食べ物を口に運んでもうまく口の中に入らず、こぼれてしまうことが増える場合もオーラルフレイルのサインです。これは、唇や舌の筋力が低下している可能性があります。
固いものが噛めなくなる
以前は普通に噛めていた固い食べ物が、噛みにくくなる、あるいは噛むのを避けるようになるのもオーラルフレイルの兆候です。噛む力が弱まると食事の質が低下し、栄養バランスが崩れるリスクがあります。
口の渇きを感じる
口が乾燥しやすくなるのも、オーラルフレイルの一因です。唾液の分泌量が減少すると口腔内が乾燥し、飲み込みにくさや口臭の原因になります。
言葉がはっきり発音できない
会話中に言葉がうまく出ない、発音が不明瞭になる、などのことも、オーラルフレイルの兆候です。舌や口周りの筋力が低下している可能性があります。
これらの症状が現れた場合、オーラルフレイルを疑い早めに対処することが重要です。適切な対応を取ることで症状を改善し、健康な状態を取り戻すことができます。
オーラルフレイルを放置するとどうなるのか?
オーラルフレイルを放置するとやがてお口の機能がさらに低下し、全身の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。以下に、具体的なリスクを挙げます。
栄養バランスの崩れ
「噛みにくい」「飲み込みにくい」といった症状が続くと、やわらかい食品ばかりを選ぶようになります。これにより栄養バランスが偏り、特にタンパク質やビタミン、ミネラルが不足しがちになります。その結果免疫力の低下や筋力の衰えを引き起こし、健康に悪影響を及ぼします。
筋力低下と身体的フレイルへの移行
オーラルフレイルが進行するとお口の筋力がさらに低下し、噛む力や飲み込む力が著しく衰えます。これが全身の筋力低下(身体的フレイル)へとつながり、歩行困難や転倒リスクの増加など日常生活にも支障をきたす可能性があります。
社会的孤立のリスク
オーラルフレイルによる言語機能の低下や食事の困難さは、他人とのコミュニケーションや社会的な活動を避ける要因となることがあります。社会的活動が減ることで孤立が進み、うつ症状のリスクも高まる可能性があります。
要介護状態への移行
オーラルフレイルを放置した結果、最終的には要介護状態に陥るリスクが高まります。特に誤嚥性肺炎や栄養失調などが原因で日常生活を自立して送ることが難しくなり、介護が必要になる場合があります。
これらのリスクを防ぐためにはオーラルフレイルを早期に発見し、適切に対処することが不可欠です。
8020達成と口周りの機能維持の重要性
「8020運動」を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。これは、80歳で20本以上の歯を残すことを目標にした運動で、これまで8020を達成することが特に重要視されていました。確かに歯の本数を保つことは、お口の健康にとって非常に重要です。20本の歯があれば、日常生活において問題なく食事を楽しむことができ、栄養バランスも保ちやすくなります。しかし、8020を達成するだけでは十分ではないことが、最近の研究で分かってきました。歯の本数だけでなく口周りの機能を維持することが、健康寿命を延ばすために重要であることが明らかになっています。たとえ歯が20本残っていたとしても、噛む力が弱くなったり飲み込みが困難になったりすると、全身の健康に悪影響を与えるリスクが高まります。
したがって、これからは8020運動に加えて口周りの筋力や機能をしっかりと維持することが求められます。これはオーラルフレイルを予防し、健やかで豊かな老後を送るための鍵となります。
オーラルフレイルを防ぐためにできること
オーラルフレイルを防ぐためには日頃からお口の健康に気を配り、ささいな変化にも敏感になることが大切です。以下の対策を実践することで、オーラルフレイルを予防し健康な状態の維持に役立つでしょう。
定期的に歯科検診を受ける
定期的に歯科医院で検診を受けることで、オーラルフレイルの早期発見が可能になります。歯科医師や歯科衛生士の指導のもと、お口の機能を維持するための適切なケアを行いましょう。
噛む力を鍛える食生活
固い食品や繊維質の多い野菜を意識して摂取することで、噛む力を維持・強化することができます。バランスの取れた食事を心がけ、栄養素をしっかりと摂取することも重要です。
口腔体操を取り入れる
口周りの筋肉を鍛えるための簡単な体操を毎日の習慣にしましょう。口を大きく開けたり舌を動かしたりする運動は、飲み込みや発音の機能を維持するのに役立ちます。
十分な水分補給を心がける
口腔内の乾燥を防ぐために、こまめに水分を摂取しましょう。特に高齢者は唾液の分泌量が減少しやすいため、口腔内を潤すことが大切です。
まとめ
オーラルフレイルは加齢に伴うお口の機能の衰えであり、そのまま放置すると全身の健康に深刻な影響を与えるリスクがあります。これまで重要視されてきた「8020運動」に加えて、口周りの機能を維持することが健康寿命を延ばすためには欠かせません。健やかで豊かな老後を過ごすためにも、日常生活でささいな変化に気づいたら早めに対処し、適切なケアを行いましょう。
予防治療を検討されている方は、茨城県筑西市にある山口歯科クリニックにご相談ください。
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