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歯周病と心疾患の関係と、歯周病を予防するための口腔ケア

2024年08月15日

8月10日は「健康ハートの日」であるのをご存じですか?これは心臓病の予防を目的としたキャンペーンで、日本心臓財団が提唱したものです。心臓病は、日本人の死亡原因の第2位に位置しており、その危険因子は多岐にわたります。近年の研究によれば、歯科疾患、特に歯周病と心疾患との間には深い関わりがあることが明らかになっています。今回は、歯周病と心疾患の関係について詳しく解説し、歯周病を予防するための効果的な口腔ケア方法についてご紹介します。

 

歯周病とは

歯周病は、歯を支える歯周組織が細菌感染によって炎症を引き起こし、進行すると最終的に歯を失う可能性がある病気です。初期段階では歯肉炎として現れ、歯ぐきが赤く腫れて出血しやすくなります。さらに、適切なケアを怠ると炎症が進行し、歯周炎に移行することで歯を支えている歯槽骨が破壊され、最終的には歯がぐらぐらして抜け落ちることもあります。歯周病、口腔内の衛生状態が悪化すると急速に進行することがあるため、定期的なケアが必要です。

 

歯周病の原因

歯周病の主な原因として、以下の2つが挙げられます。

 

・プラーク(歯垢)

歯についている食べかすや磨き残しを餌とし、細菌が増殖して形成されたものがプラークです。食べかすとプラークが同じものであるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはこれらは別物で、プラークは「細菌の塊」ともいわれています。プラークには約600種類もの細菌が棲みついており、さらにプラーク1mgあたりには細菌が約10億個存在していることがその所以です。プラーク中の細菌は毒素を産生し、歯ぐきに炎症を引き起こします。

 

・リスクファクター

歯周病のリスクを高める要因として、喫煙、糖尿病、不適切な歯磨き習慣、ストレス、遺伝的要因などが挙げられます。特に喫煙は歯周病の進行を促進し治療効果を低下させるため、重要なリスクファクターとされています。また、糖尿病がある場合、血糖コントロールが不十分だと歯周病のリスクがさらに高まります。

 

歯周病と全身疾患の関係

厚生労働省の調査によると、40~74歳の男性の約55%、女性の約17%がメタボリックシンドロームの疑いまたは予備軍とされています。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積に加え、「脂質異常」、「高血糖」、「高血圧」のうち2つ以上が該当する状態を指します。この状態が進行すると、高血圧や糖代謝異常を引き起こし、最終的には心不全や脳卒中などの重大な疾患に繋がります。

 

歯周病は全身疾患との関わりが深いことが多くの研究で示されています。例えば、歯周病原菌が糖尿病や心血管疾患、骨粗しょう症などに影響を及ぼすことがエビデンスとして確立されています。歯周病はメタボリックドミノの1枚目に相当し、その進行が全身疾患に影響を与える可能性があるのです。

 

歯周病による心疾患のリスク

近年の研究では、歯周病が心疾患をはじめとするさまざまな全身疾患と関わりがあることが明らかになっています。実際に、歯周病がある人は歯周病がない人と比較して心筋梗塞の発症率が約2倍になるというデータもあります。心臓病のリスク因子としては、高血圧、喫煙、肥満などが広く認識されていますが、歯周病も無視できないリスク要因として注目されています。

 

歯周病が心疾患と関わる理由

歯周病が心疾患と関わりをもつメカニズムとして、以下の2つの説があります。

 

・細菌の血流への移行

歯周病の原因となる細菌が血流に乗って心臓に運ばれ、血管に炎症を引き起こし、動脈硬化を進行させるという説です。細菌が血液を介して全身に影響を及ぼす可能性があり、心疾患のリスクを高めます。心疾患の中でも、特に心筋梗塞や狭心症などのリスクが高まるとされています。

 

・歯ぐきの炎症に起因

歯ぐきの炎症が心疾患をはじめとする全身疾患の引き金になる、という説です。炎症性物質が血液を介して心臓に運ばれ、血管に悪影響を及ぼす可能性があります。炎症が慢性化すると血管の内壁が傷つき、動脈硬化の進行を促進することが明らかになっています。これにより、心疾患のリスクが増加します。

 

命を守るための口腔ケア

歯周病を予防し、心疾患のリスクを低減するためには、セルフケアとプロフェッショナルケアの両立が重要です。

 

・セルフケア

セルフケアは、日常的に行う口腔ケアのことを指します。毎日の丁寧な歯磨きが欠かせません。むし歯や歯周病の原因となる細菌はプラーク(歯垢)に棲みついており、その数はプラーク1mgにつき約1億個以上とされています。むし歯や歯周病を予防するためには、プラークを取り除くことが重要です。

 

プラークを取り除くための方法としては、歯ブラシの使用、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具の使用が挙げられます。これらはただ使えばよいというわけではなく、正しい方法で行うことが最も重要です。自分ではしっかりと磨いているつもりでも、実際には歯ブラシの毛先がうまく歯面に当たっていない、奥歯や歯ブラシの届きにくい部分が適切に磨けていない、ということはよくあります。正しい磨き方を習得し、それが実践できているかを定期的にチェックすることが重要です。

 

・プロフェッショナルケア

プロフェッショナルケアは、歯科医師や歯科衛生士による専門的な口腔ケアのことを指します。セルフケアだけでは歯石やプラークを完全に取り除くことは難しいため、歯科医院でのクリーニングが必要です。また、セルフケアが正しく行われているかを客観的に評価してもらうことも大切です。

 

【検査】

口腔内の状態を正確に把握するためには、定期的な検査が必要です。目視では判断できない部分を確認するために、レントゲン撮影や歯と歯ぐきのすき間を測定する歯周ポケット検査が行われます。これにより、歯周病の進行度や治療の必要性が評価されます。

 

【正しい歯磨き方法の指導】

口腔内の状態は個人によって異なります。そのため、その方に合った歯磨き方法を知ることが歯周病の予防には重要です。歯科衛生士が患者様の口腔内の状況やライフスタイルに応じた最適な口腔ケア方法を提案します。

 

【専門的なクリーニング(PMTC)】

プラークやプラークが石灰化した歯石は、セルフケアでは完全に取り除くことできません。専用の機材を用いて歯石や細かな部分の汚れ、目に見えないバイオフィルムなどを除去します。これにより、歯周病の予防や治療が効果的に行われます。

 

歯科医院で定期検診を受けるメリット

・自分の歯を多く残せる

歯科医院での定期的なチェックとクリーニングによりむし歯や歯周病を早期に発見し、治療することで自分の歯を長く健康に保つことができます。特に歯周病は進行すると治療が難しくなるため、早期発見・早期治療が重要です。

 

・医療費が抑えられる

病気が進行する前に適切な治療を受けることで、高額な治療費を抑えられる可能性があります。予防的なケアを行うことで、将来的な医療費を削減することができます。

 

・歯を清潔に保つことでモチベーションが上がる

定期的なプロフェッショナルケアにより口腔内を清潔に保つことができ、日々のセルフケアに対するモチベーションが向上します。口腔内の清潔感が高まることで、ケアの効果を実感しやすくなります。

 

歯科検診に行きましょう

歯科医院には痛みや不具合を感じてから行くのではなく、予防のために定期的に受診することが重要です。歯周病は早期に発見し、適切な治療とケアを行うことでその進行を防ぐことができます。健康な歯と歯茎を保つために、ぜひ定期的に歯科検診を受ける習慣をつけましょう。

 

まとめ

歯周病と心疾患の関係についてご理解いただけたでしょうか。お口の健康を保つことは、全身の健康を維持するためにも非常に重要です。セルフケアとプロフェッショナルケアを両立させ定期的な歯科検診を受けることで、歯周病を予防し、心臓病などの重篤な疾患を防ぐことができます。健康な生活を送るためにも日々の口腔ケアを大切にし、予防的な診療を心がけましょう。

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